September 27, 2019

私と女優と人生とVol.1 4「ダイアン・キートン」

~あなたはユニークな存在?ダイアン・キートンの場合~

日本での女性に対する褒め言葉とは、どんなものだろう。
女性にとって、未来の自分の目指す雰囲気を形容詞で答えるなら、優しい、気品がある、美しい、艶やか?

昔、私が少女から少し経った20代の中頃、パリで仏語を学んでいた時、韓国人の若い女性がこの質問に「強い」と答えていて驚いたことを、今でも思い出す。映画の中でではなく実際の目の前で初めて、国が違えば思うところはこんなにも違うのだ、という事実を知った出来事だった。
仏語初心者クラスだったから、少ないボキャブラリーの中で答えたのだろうと、とっさに解釈したのだが、違った。その韓国から来た女性は、「なぜか」というさらなる先生の問いに、明確に答えていた。「強いものは美しい」と。もし言葉が自由であったなら、あの後もっと多くの目指す女性像について、続けて討論されただろう。

映画『恋愛適齢期』は、ダイアン・キートンの代表作のひとつだ。脚本の面白さ、インテリアやファッションの楽しさ、恋愛と人生の旨み表現、どれをとっても魅力的で何度も観たい映画である。ダイアン扮する離婚後長らく女性性を閉じていた主人公エリカが、「ユニークな存在だ」と言われて恋に発展するシーンがある。
また自伝『あの時をもう一度』では、自分の美貌が完璧でないことに失意していた若い頃、「母は常に娘のユニークさを信じていた」という件がある。一度ではなく何度も「貴方はユニーク」とエールを送っている。ユニークとは、ユニークな存在とは、いったいどんなものだろう。思うに、「どこかで見た風ではなく、自由な己の泉から出来たコンセプトによって自立していて、周囲にも自分にも愛情に満ち、自己肯定の上に在る存在」なのではないか。初期の代表作『アニー・ホール』で披露した「アニー・ホール・ルック」は、監督から「好きな物を着ろ」と言われて出来た着こなしだ。これもユニーク精神の成せる技である。

他で見たことのない自分だけの魅力。そんなユニークな女性のお手本として、これからもダイアン・キートンを追っていきたい。

Text :  IkukoSuzuki

Illustration :  935